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子育て中のブランクナース。健康診断の単発アルバイトにいってきました。 ~養護学校での心電図介助~

2歳と0歳の子どもを保育園に預けながら、短時間で近場の仕事を探している8年のブランクを持つわたし。なかなか仕事が見つからない中、健康診断の単発バイトならなんとかできそうという決断に達し、今日は待ちに待った社会復帰1日目でした。

 

きれいめ・清潔感のあるカットソーに、黒のパンツ、黒の動きやすいシューズに身を包み、わたしは養護学校の門をくぐりました。

 

社会復帰一発目の仕事は心電図…の介助。病棟の看護士時代、心電図はとりまくっていたのですが、このように派遣でするのは初めてでした。

 

中学校以来!?そこは学校の保健室

心電図の検査が行われる場所は養護学校の保健室でした。健康診断の日ということでか、学校は全体的にざわざわしています(自分たちも学生のときはそうだったなぁ~)。学校の玄関でわたしがうろうろしていると、保健の先生らしき方が案内してくれました。

 

広々とした保健室の床にクッションマットとキルトのマルチカバーが敷かれ、心電図の機械が3台あり、ついたてでなんとなく仕切られています。

 

そこには、常勤とみられるナースや検査技師さんがすでにスタンバイ。スタンバイといっても、ラフな私服で、学校側から出されたお茶をぺたんと座って飲んでいらっしゃいます。わたしと、先ほど合流した同じ派遣の方とで、挨拶すると「は~い、じゃあこの辺で~!」と笑顔で返してくださいました。緊張の糸がフッとほどけます。

 

私服でGO!?

では、検査着を…と常勤のナースが私たちに配ろうとしたとき、保健の先生から「検査着はなしでお願いします。」との指示が。常勤のナースも「あぁ、そうね。」といった具合で検査着は再び仕舞われました。

 

検査着といっても白衣だったので、生徒さんたちを緊張させてしまうのでしょう。余計な緊張や恐怖は無いに越したことはありません。「臨機応変に対応するべき現場なのだな、今日は。」わたしはそう考えて準備にとりかかりました。

 

ゆるゆるとスタート。わきあいあいとした雰囲気

そうこうしているうちに、学校の先生が生徒さんをつれて保健室にやってきました。「心電図おねがいしまーす。」生徒さんは不安そうな顔。わたしが介助についた常勤ナースXさんはベテランな様子で、個人票を受け取るないなや、「○○くーん!今からね、心臓さんの音をきくよ!ぜったい痛くないからね~。」とあたたかい笑顔をむけていました。

 

わたし達派遣にかせられた今日の仕事は、生徒さんの心電図をすばやく正確にとること。生徒さんに余計な緊張をあたえず、リラックスしてもらうことはとても重要でした。ということで保健室は、常に、やさしい声かけや、生徒さんの元気な声であふれていました。

 

わたしの仕事は主に四肢誘導の装着

生徒さんに横になってもらった状態で、わたしは足元に、Xさんは枕元にスタンバイ。Xさんが検査の説明と胸部誘導の装着、記録をおこないます。

 

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出典:https://www.pluswellness.com/checkup/009002.html

 

わたしは生徒さんに、靴を脱ぎ横になってもらうよう促すことと、足に電極を装着する役割を担いました。とても単純で簡単な作業でしたが、生徒さんひとりひとり個性があり、会話や手順は臨機応変に変える必要がある作業です。ただ、わたしの判断ではなく、常勤のXさんの判断のもと、わたしはそれに合わせる形となりました。

 

午前の健康診断はつつがなく終了

30人ほど心電図をとったころでしょうか。途中、常勤ナースXさんと雑談する時間もありました。先生方から「午前はこれで終了で~す、ありがとうございました。」と声かけがあり、休憩は1時間半ほどとの連絡が。

 

わたしは、一緒に入った派遣の看護師と、近くの喫茶店でランチをしました。同い年で、子育て話に花が咲く和やかな雰囲気でした。

 

ひきつづいて午後の健康診断へ

午後の部もゆるゆると始まります。

 

ひとりふたりと、他の場所で血圧などの測定を終えた生徒さんが保健室のドアをノックします。ちなみに、健康診断にさきがけ、学校では「測定の練習」をするのだそう。実際に使う道具を用いて、見たり触れたりしておくのだそうです。勉強になります。

 

そ の効果もあってか、心電図の検査はスムーズに進み、予定より一時間もはやく業務は終了しました。今日1日を通して、心電図がとれなかった生徒さんは一人。独自のこだわりを持っていて、心電図はどうしても受け付けないといった様子でした。トラウマになるのを避けるため、測定はまた次回ということになったのです。

 

養護学校に対する「先入観」と「実際」

今回の現場が養護学校だと知ったとき、「え!」と思ったのが正直なところ。情報として表面化しませんが、暗黙の了解で心得ておかなければならない部分がどの業界にもあります。誤解を恐れずに、なぜ「え!」と思ったか、わたしは開示していこうと思います。

 

・汚れる仕事なんじゃないだろうか…?(排泄物がやはり気になる)

・暴力をふるわれるんじゃないか?

・コミュニケーションはとれるのだろうか…

・嫌な気持ちにならないだろうか…

 

きっとだれもが心当たりのあるポイントではないでしょうか。いろいろデリケートな話題ですし、話すと長くなるのでこのへんにしておきます。ちなみにわたしは、汚れるのも、やむ終えなく暴力をふるわれるのも構いませんでした。ただ覚悟が必要だと思ったのです。心構えをしておくのと、しておかないのでは全然ちがうからです。

 

ですが、もちろん実際は全く違いました。

 

・みんなとても身だしなみがキチンとしていました。わたしたちが排泄物等に触れる機会はありません。

・落ち着きがない生徒さんはいても、暴力をふるわれることはありませんでした(検査が嫌で暴れる子はいましたが)。

・コミュニケーションに問題はありませんでした。付き添いの先生方もいたので、サポートもあります。

・嫌な気持ちというのは、よくニュースなどで報道される虐待などを目にしないだろうかということです。浅はかな考えでした。少なくとも今回の学校は、生徒さんたちが大切にされていました。愛のある現場は、いるだけで温かい気持ちになれます。

 

心電図介助の仕事を終えて

今回の仕事は、心電図が読めなくても電極を装着することができればOK。心電図の説明、電極装着の説明、必要時衣服をととのえる(電極装着の際に靴下をまくったり、服をまくってもらうため)、これらができて、対象者をリラックスさせる笑顔と雰囲気があればこなせる業務でした。

 

不安な人はメモ帳に電極の色の順番を書いて、いつでも見られるようにしておくといいのではないでしょうか。

 

健康診断の仕事の特徴

・基本的にはおなじ作業のくりかえしである。リズムをつかめば、とくに難しいことはない。

・正確な数値を導き出すことが最も重要となる。正確に測定、記録をおこなう。

・正確な測定がおこなわれるよう、対象者には説明をし、リラックスした状態でいられるよう働きかける。

 

以上をもって産後はじめての「ナースのお仕事」は、終了しました。

 

体力がなくても、ブランクがあっても、とくに問題は無く終了することができました。健康診断の仕事だと、朝から丸一日かけて数か所を巡回する場合が多いのですが、なかには今回のように日中数時間の健診バイトもあるので、興味のある人はぜひ問い合わせてみてはどうでしょうか。